研修会「幕末土佐・龍馬の基礎知識」
日時 平成21年4月15日 午後2時40分~4時
会場 山内会館
講師 三浦夏樹(高知県立坂本龍馬記念館学芸員)

 本年度は平成22年1月からNHK大河ドラマ「龍馬伝」が放送される年にあたります。観光をはじめ歴史・文化的な面でも特に龍馬や幕末が注目される年になるのに先立ち、まずは情報発信をする側に立つ、ミュージアムネットワーク加盟文化施設の内部で勉強会を、と総会開催にあわせて研修会が企画されました。
 坂本龍馬といえば、高知でテレビをつけていれば「龍馬」の文字・映像を見ずにすむ日はないというくらいおなじみの歴史上の人物です。市内観光地では坂本龍馬グッズを数多く目にし、高知県のシンボル的な存在。県外出身者の私は当初、この龍馬一色の雰囲気に多少戸惑いました。結局何をした人なのか、あまり知らないんですけど・・・と口に出すのもはばかられ、息を潜めて暮らしておりました。
 が、三浦さんのお話は、さすが明快。小説によって作られた虚像と、時代の要請によって形作られた偉人像をユーモアと史実解説を交えて隅々まで解説してくださいました。
 お話を聞いての第一の感想は、現代人の「常識」となっている龍馬像やその行動の軌跡はかなり小説によって脚色された部分が多いということ。ただこれらの脚色部分で作家の方々が描き出した魅力的な人物像が龍馬ファンの心を捉えた所以でもあるので、なかなか史実を解説して理解を得るということも難しいというお話からも、根強いファン層を持つ人物を主題にする館の学芸員のご苦労がしのばれました。
 最後におすすめの研究書などもご紹介いただき、関連年表までついて、レジュメともども今後の活動に活用できる、今年一年の始まりにぴったりの有意義な研修会となったと思われます。
(文責・土佐山内家宝物資料館 藤田雅子)